資料@ 東京ディズニーランドの役員である北村さんは、従業員とコミュニケーションをとるために、月に2・3回は、自らナイトカストーディアルとして深夜の掃除をするそうである。 ある夜、北村さんが「アドベンチャーランド」を掃除し、食堂の厨房を洗い終えた午前3時頃、トゥモローランドへ移動したときのことである。そこには、大きなトイレがあり、若いナイトカストーディアルが掃除をしているのが見えた。しかし、彼が一人で一生懸命ゴシゴシと掃除していのに、そのトイレから話し声が聞こえてくる。 資料A 北村さんが不思議に思って、近づいてよく聞いてみると、何と彼は便器に話しかけながら掃除をやっていたのである。 これには、北村さんはビックリした。そして、なぜ便器に話しかけているのかを彼に尋ねた。彼はぽつりぽつりと話しはじめた。 「僕は、自分で希望して、この職業を選んだけれど、この仕事が嫌で嫌でしかたがあり ませんでした。夜はやっぱり寂しいし、こんなに広いところを少ない人数でピカピカ にするのはつらい。どうしてこんな事をやっているのか、情けなくなってきたんです。 何度もやめようと思った。でも、本場アメリカのディズニーランドへ行って、考え方 が変わったんです。なぜなら、むこうのナイトカストーディアルは『こんな素晴らし い仕事をどうして嫌がるんだ。僕は全然さびしくないよ。なぜだか教えてやろうか』 と言って、トイレに連れて行ってくれたんです。それで『これはみんな僕の友達だよ、 名前もあるんだよ』と言って、ずらっと並んだ便器を『トム、ジャック、スティーブ ・・・』と順番に呼んで紹介してくれました。『僕は、毎晩彼らと話しながら仕事し てるんだ』というなり、彼は『トム、どうだい元気かい。そうか、今日は思いきり汚 されたからキレイにしてくれって? よし、思いっきりキレイにしてあげるよ』なん て言いながら、掃除していくんです。『こうしてキレイにしてあげると、便器も喜ぶ し、お客さんも喜ぶんだ。そして、ぼくも楽しいよ』 これはスゴイ。僕は思わず泣けてきました。よし、僕もこれでいこう。そう思って、 日本に帰ってきてから頑張っているんです。」 彼は、こんな話しをしてくれた。北村さんは、心がホッと暖まるような感動を覚えた。 |